血友病Q&A

2019.11.25

監修

荻窪病院 血液凝固科 部長 鈴木 隆史 先生

荻窪病院 血液凝固科 長尾 梓 先生

旅⾏には⾏けますか?

注意点を守ることで、旅⾏は可能です。

⾎友病では⼀定の訓練を受けた後に⾃⾝やご家族によって⾃宅や旅⾏先など、医療施設外での注射が認められています。そのため、製剤を携帯し必要時に注射することが可能であれば旅⾏も可能です。
旅⾏の計画が決まったら、主治医と相談し、旅⾏期間に合わせて携帯する製剤の量を決めてもらいましょう。また、製剤の保管⽅法についても、事前に確認しておきましょう。
⾶⾏機を利⽤する場合には、セキュリティーチェックの際に医薬品であることを告げれば機内に持ち込むことができますが、念のために主治医による、製剤と注射⽤器具の持ち込みが必要であることが記載された証明書を持参すると安⼼です。海外旅行のときも同様です。

運動するとけがをするのではないかと⼼配です

⼈と激しく接触するような出⾎リスクが⾼いスポーツについてはあまり推奨されないものもありますが、基本的にやってはいけないスポーツというのはありません。⽔泳や、卓球、ウォーキングなどは積極的に推奨されています。
スポーツのメリット

⾎友病の⽅は、関節内出⾎の予防という観点から、1970年頃までは体を動かしたり、スポーツをしたりすることはあまり推奨されていませんでした。しかし近年、凝固因⼦製剤の定期補充療法が浸透し、⽌⾎管理が良好にできるようになったことで、⾎友病の⽅の⾝体活動は制限せず、むしろ積極的にスポーツに取り組むのがよいという考え⽅に変わってきています。スポーツの強度にもよりますが、⾎友病の⽅の年齢、出⾎頻度や⾎友病性関節症の程度、定期補充療法や予備的補充療法の有無により対応は異なるため、医師との相談が必要です。
幼稚園・保育園・学校への説明はどうしたらいいでしょうか?
安全な集団⽣活・学校⽣活には、出⾎の早期発⾒・治療が重要なため、周囲の⽅に⾎友病を正しく理解してもらうことは⼤切です。しかし、病名を伝えることで不利益が⽣じる可能性がある場合は出⾎時の症状についてのみ説明し、緊急連絡先を伝えるというのも良いかと思います。
周囲に対してお⼦さんの体質をどのように説明し、理解していただくか、とても悩ましい問題です。⼀⽅で、より安全な集団生活・学校生活を送るためには出⾎を早期に発⾒し治療へとつなげることも必要と考えられます。このためには、周囲の⽅に正確な情報を伝え⾎友病の症状を正しく理解してもらうことが⼤切です。
しかし、病名を伝えることで不利益が⽣じる可能性がある場合には、「⾎が出たら⽌まりにくい」「あざができやすい」といった⾎友病の出⾎症状について説明し、元気がない、頭をぶつけた、歩き⽅がおかしい、痛がる、といった時に迅速な対処ができるよう、保護者や⾎友病のかかりつけ医などの緊急連絡先を伝えるようにするというのも良いかと思います。周囲の⽅への説明には、「周りの⽅への説明書」も活⽤いただけます。
医療費はどのくらいかかるのでしょうか?
血友病の方が経済的な心配をせずに血友病の治療を受けられるよう、国や自治体が医療費助成制度を定めています。制度を利用することにより、自己負担なく治療を受けることができます。
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